淀君の小袖復元プロジェクト

丸紅所蔵の時代衣裳のひとつに「辻が花染小袖の1片」があります。“ふしみ殿御あつらへ”と読める墨書きがあるところから、豊臣秀吉の側室淀君着用の小袖の一部と推測されています。これをもとに、平成の世に甦らせようという壮大な構想が静かに始まりました。養蚕から糸作り、織布、絞り、染め、仕上げまで、400年もの昔をできる限り忠実に復元しようという構想を現実のものにするため、多くの専門家の方々の知識と技術が結集されたのが「淀君の小袖」復元プロジェクトです。
辻が花染
室町時代から桃山時代にかけて盛んであった染織手法の一つ。江戸時代に入ると途絶えてしまい、その実体がわからなくなったことから“幻の染”といわれています。淀君の生きた桃山時代には、織り、刺繍、染めなどさまざまな小袖がありましたが、なかでも「辻が花染」は豊臣秀吉や徳川家康のような天下人から庶民に至るまで老若男女を問わず好まれました。桃山時代には、まだ江戸時代の友禅染のように筆で自由に彩色する染色法が開発されていなかったため、絞りによって防染、文様をあらわすことがもっともポピュラーな方法でした。辻が花染では、文様の輪郭を細かく縫い絞って、竹の皮をかぶせて防染し、文様をあらわしました。植物染料による鮮やかな色彩、おおらかで大胆なデザインが特徴です。淀君の小袖裂はトップ・レディの衣裳にふさわしく、腕利きの職人がその技を遺憾なく発揮した最高級の辻が花染といえるでしょう。
復元小袖

復元された「淀君の小袖」 うしろ身頃

生地

「淀君の小袖」の一部と推測される生地のオリジナル

▼工程▼
1996年 7月復元プロジェクト発足
1997年 5月養蚕開始 (1参照)
1997年 8月糸づくり (2参照)
1998年 3月手織り完成 (3参照)
1998年 7月下絵 (4参照)
1998年 8月糸入れ (5参照)
1998年 9月第一回絞り (6参照)
1999年 1月第一回染め (7参照)
1999年 8月絞り染め終了 (8・9参照)
1999年 9月彩色補正 (10・11参照)
1999年12月仕立て上がり (12参照)
2000年 1月お披露目
  • 1.勢いよく山桑の葉を食べる小石丸

  • 2.手で糸をとる手繰り

  • 3.手織りによりリズミカルに織る

  • 4.下絵羽に下絵を描く作業

  • 5.糸入れは染め色にあわせて糸の色も変える

  • 6.一つ一つ丹念に帽子状に絞っていく

  • 7.藍瓶の中で一気に浸透させる

  • 8.梔子の染料につけ黄に染める

  • 9.再び藍で染めた

  • 10.熟練された彩色作業

  • 11.柄と柄を慎重に合わせる

  • 12.全体の仕上がりを最終チェック

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